サービス開発やリニューアルなどを行うとき、UIUXデザインの思考や実装は、いまやマストと言えるでしょう。ただ、自社内ではUIUXデザインに関する知見がない、対応ができないといった場合、UIUXデザインやコンサルを専門的に扱う会社に外注することになります。この外注の際にかかる費用の目安をまとめました。
アプリ開発の費用を知る目安として、まず知っておきたいのが開発手法です。アプリ開発には、主にスクラッチ開発とクラウド開発という2種類があり、どちらを選ぶかで費用が変わってきます。WEB制作を行う株式会社GIGの公式ブログ記事より、業界費用相場を見てみました。
まずスクラッチ開発とは、オリジナルのアプリを1から開発する手法です。開発には複数のエンジニア・デザイナーが関与し、時間もある程度必要となるため、費用相場も高くなりやすいのが特徴。スクラッチでのアプリ開発の費用相場としては、1アプリにつき2,000万円からとのこと。
一方、クラウド開発とは、既出の機能を利用してアプリを開発する手法です。要件定義・デザイン・データベース連携といった作業は必要ですが、プログラミングは不要となるため、スクラッチ開発に比べると費用を抑えることが可能。こちらの費用相場は400万円から。
費用の内訳目安ですが、UI/UXデザインは150~600万円、イラスト・アイコン制作70~150万円、モーションデザイン100~400万円、ブランディング50~300万円と幅があります。これは、依頼する会社やデザイナー、開発の複雑さによって費用が変動するためです。
商品やサービス、企業そのもののブランディングは、経営方針や事業戦略を練ることを得意とするコンサル会社や、デザインや広告戦略を得意とする広告代理店などが手掛けることが多い印象ですが、それら全てをトータルで担うことができるUIUXデザイン会社も存在します。
気になる費用相場ですが、これは外注する会社によってかなりの幅が見られます。
参考資料として、ブランディングテクノロジー株式会社が公式HPに掲載している記事「ブランディングのコンサルティング費用・料金相場について」より、中小企業を対象としたブランディングの業界費用相場を見てみましょう。
企業や事業ブランドの構築の依頼を想定した場合、費用に含まれるのは戦略策定・コピーやロゴの制作・VI(ビジュアル・アイデンティティ)開発・レギュレーション・HPやパンフレット作成などです。
この内容の場合、コピー・ロゴ等の制作会社であれば100~300万円、戦略策定から制作までを請け負う制作会社・広告代理店だと300~600万円、大規模調査やプロモーションを行うコンサル会社だと600~1,000万円で請け負うケースが多いようです。
ちなみに、依頼範囲や目的が決まっていない状態で依頼をすると、費用が高くなりやすいので注意しましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、AI・IoTなどのデジタル技術を導入してビジネスや人々の生活をより良いものへ変容させること。DX推進支援コンサルとは、企業におけるDXの推進に必要なサポート業務を指します。
DX推進支援の業務範囲は非常に広いのですが、ソフトウェア開発を例に挙げると費用相場は数百万。開発後の保守・アフターフォローに必要な費用は、年間で~数十万円必要となってくるとのこと。
また、DX推進支援コンサルタントの費用はプロジェクトの規模によっても異なり、大きいものだと総額数千万円~数百億円かかるケースもあるようです。これほど金額に大きな差が開く理由は、コンサル費用の大半は人件費とコンサル期間だから。大きなプロジェクトになるほど経験豊富なコンサルタントの人数や、希少なスキルを持った優秀な人材が必要となり、プロジェクト期間も長くなるため、費用が高くなりやすいのです。また、成果報酬型契約の場合は、成果によっても大きな金額変動がおこります。
ただし、総額についてはDX推進支援コンサル会社によっても異なるため、複数の見積もりを依頼して比較することが重要です。
UIUXリサーチとは、どのようなUIUXが求められているかをユーザー視点に立って捉えるための調査。ユーザーのニーズを把握することで、商品やサービスの提供方法、方向性などの決定・改善につなげていくものです。
UIUXリサーチを外注する場合、発生するのは企画・設計・実施・分析といった作業への費用です。企画には、WEB調査画面やアンケートの作成・データ回収・ヒアリングなどが含まれており、費用の目安は30~150万円。UIUX設計・UIデザイン設計・ペルソナ設計といった設計工程では、50~200万円ほどの費用が必要です。実施と分析については、リサーチの規模によって異なります。
UIUXリサーチの費用は、実施する規模や内容に依存するのが特徴です。コストを抑えるためには、前もって改善したい業務内容の範囲を決めておくことが大事。こうすることでリサーチの効率がアップし、コストも抑えられるようになるでしょう。
いちからアプリ開発を行う場合、少なくとも数百万円の費用が必要となります。しかし、ある一定の条件を満たすことで、行政が実施している補助金制度を利用できることがあります。
IT導入補助金制度は、業務効率化を目的にITツールを導入する企業が活用できる補助金制度。導入費用を最大2/3(450万円まで)補助してもらえます。ただし、効率化できる業務プロセス数など、条件によって補助金額は変化します。
ポストコロナ・ウィズコロナといった社会の変化に合わせて、新規に事業を再構築しようとする中小事業者を対象とした補助金制度。事業の規模に合わせて、導入費用の最大2/3(1億円まで)が補助されます。ただし、コロナによる売り上げ減少、認定機関との共同事業計画策定といった条件を満たす必要があります。
売り上げの拡大や生産性の向上を目的とする、小規模事業者を対象とした補助金制度。事業の規模に合わせて、導入費用の最大2/3(50万円まで)を補助金として受け取れます。
人員に余裕のある会社であれば、自社内でUIUXデザイン・リサーチなどを行うことも可能かもしれませんが、プロジェクトチームを組織したり、体制を1から整備するなど時間と手間が発生します。専門外の作業工数が増えて社員の負担が増加したり、開発スピードが落ち、サービスのリリース日が遅れたりと、納得のいく結果を得られなくなる可能性もあります。こうした事態を防ぐための必要コストとして、UIUXを専門とするデザイン会社・コンサル会社に専門領域は外注する、というのはひとつの策といえます。
ただし、依頼先や依頼内容によって、大きく金額に開きがあるため、まずは問い合わせをし、あなたが叶えたいサービスや期待する業務内容について、UIUXデザイン会社としっかり相談して、納得いくまですり合わせを行ってください。