WEBにおけるUXデザインとは、ホームページやアプリなどを通じて訪れたユーザーの顧客体験をデザインすること。ここでは、UXデザインにおける重要なポイント、知っておきたい7つの原則・5段階モデルについて解説していきます。
UXとはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、ユーザー体験・ユーザー経験とも訳されます。企業が提供する製品・サービスを通じてユーザーが抱く印象、感動、利便性といった体験すべてが含まれます。
たとえば、「デザインに一貫性があり情報を探しやすいという体験や感想」「画像表示などがスムーズで閲覧にストレスがないという体験」「文字のコントラストが明確で読みやすいといった快適性」などが、WEBサイトにおけるUXとなります。
WEBデザインやアプリ以外にも、さまざまなところでUXはデザインされています。たとえば飲食店を利用する顧客は、メニューを購入するだけでなく、その場で飲食するという体験を目的とすることもあります。この場合、店内の内装・BGM・スタッフの接客といった体験が付加価値となり、他社にはないUXを生み出すのです。
ちなみに、UXとCX(カスタマーエクスペリエンス)が混同されるケースもありますが、CXは顧客体験価値を指します。UXは単一商品・サービスを対象としますが、CXは購入前から購入後までの顧客体験すべてが対象。UXより広義の意味となります。
ユーザーにとっての使いやすさを重視するUXデザインですが、このデザインを考える上で基本となるのが「UXハニカム」と呼ばれる7つの原則。デザイナーのピーター・モービル氏が提唱したもので、UXを構成する7つの要素をまとめています。
1.Useful (役に立つ) |
提供しているサービスや製品が、ユーザーにとって役に立つのか、価値があるのかどうかという観点で有用性を見直していきます。 提供するものに有用性を見出せなければ、提供する・製造する意味はないということになります。 |
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2.Usable (使いやすい) |
UXデザインの重要な要素である「使いやすさ」。 どんなに便利な機能・製品であったとしても、ユーザーにストレスを感じさせるものであれば使いやすいとは言えません。誰もが直感的・効率的に目的を達することができるよう、設計することが重要です。 |
3.Findable (見つけやすい) |
ユーザーが必要なコンテンツや機能を見つけ、スムーズにアクセスできるようにすることです。 目的とする情報に迷うことなくたどり着けるよう、デザイナーは導線を設計しなければなりません。 |
4.Credible (信頼できる) |
提供しているサービスや情報は、ユーザーにとって信頼できるものでなければなりません。 必要とする情報・コンテンツを見つけたとしても、そこに信憑性がなければ利用価値を見出すことは困難だからです。 |
5.Desirable (好ましい) |
ユーザーの興味を引き付けるためには、魅力的なレイアウト・ビジュアルデザイン・エモーショナルデザインなどが必要です。 ターゲットとなるユーザーの趣味嗜好を踏まえ、好感が持てるデザインを心がけましょう。 |
6.Accessible (アクセスしやすい) |
高齢者やハンディキャップを持った人など、どのような人でもアクセスでき、不自由を感じることなく目的を達成しやすいよう設計する必要があります。 |
7.Valuable (価値がある) |
ここまでの6つの要素を満たすことで、ユーザーにとって「価値がある」体験を創造できるとされています。 |
UXデザインの5段階モデルとは、アメリカのジェシー・ジェームズ・ギャレット氏が提唱したUXの要素を5つに分類した考え方です。
1.戦略(Strategy) | UXデザインの基盤で、ターゲットや目的とするゴールを設定すること。 誰の課題を解決するものなのか、なぜ必要なのかを明確にします。 |
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2.要件(Scope) | ユーザーに価値を提供するためのコンテンツ・機能を設定します。 戦略の実現には何が必要かを、UXを軸として洗い出していきます。 |
3.構造(Structure) | 必要な情報・機能にユーザーがたどり着くための全体設計です。 コンテンツや機能を関連付け、ユーザーに分かりやすく届けることを意識します。 |
4.骨格(Skeleton) | ユーザーが理解しやすいよう、インターフェース上の情報を設計します。 構成要素を決定してからプロトタイプを作り、ユーザビリティテストで課題の洗い出しを行います。 |
5.表層(Surface) | 表層とは、ユーザーが目で認識するデザインのこと。 視覚的な要素を反映するロゴ・カラー・フォントなどのビジュアルを選び、UIのデザインを行います。 |
製品やサービスの開発にUXデザインを取り入れる場合、基本的に6つのプロセスを踏みながら進めていきます。
1.目的・KPIの設定 | 「UXを向上させることで実現したいことは何か」という、UXデザインの目的を設定。 さらに、リピート率を増やす・新規ユーザー数を増やすといった、評価の指標となるKPIも設定していきます。 |
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2.調査 | ユーザーがどのようにプロダクトを利用するのか、その調査を行います。 代表的な調査方法は、インタビューやエスノグラフィー調査など。調査に寄ってユーザーの情報を収集することで、デザイナーはプロジェクトの範囲を具体的に理解できるようになります。 |
3.分析 | 「どのようなターゲットにとって価値のあるプロダクトにしていくか」が、UXデザインにとっては重要なポイント。 そのため、分析のプロセスではペルソナを決めて、必要なコンテンツや方向性を明確にしていきます。 |
4.デザイン | 収集した情報や知識をベースに、最終的な製品の構図を決定。 モックアップ・ワイヤーフレームといった模型・設計図を、具体的なテーマを持ったビジュアルデザインへと変えていきます。 |
5.テスト・検証 | UXを実現するためには、WEBサイト・製品のテストが不可決です。 どのような形でユーザーが製品やサービスを使っているか、ユーザーが求めている目的を達成できているかどうかを、テストを通して検証していきます。 |
6.プロダクトのローンチ | 製品やサービスの発表・発売・公開といったローンチが最終ステップです。 まず、一般公開前にベータ版をごく一部のユーザーにリリースし、まだ発見されていない問題を把握。それらを解決することが重要です。 |
UXデザインは、ユーザーの体験や満足度を高めるためにも欠かせない要素ですが、7つの原則や5段階モデルといった基本を踏まえて行う必要があります。
どれかひとつが欠けるとうまくいかない可能性があるため、UXデザインを成功させたいと考えるならば、UIUXデザイン会社の力を借りるのもひとつの手段でしょう。